【空海】浮雲は何れの処にか出でたる。 本は是れ浄虚空なり。

2014年5月14日
イラスト:nihhiイラスト:nihhi

今回のことばは、弘法大師の『性霊集』という書物からピックアップしました。超訳してみると、「浮雲にばかり気をとられていないで、その背後にある清浄な大空に絶えず気づいていなさい」……といったような意味になるでしょうか。

すべての現象(=雲)は、どこからともなくこの世にあらわれ出ては、どこへともなく去っていきます。あらゆるものは、瞬間ごとに流れ去っていくのです。……なんてことを言うと、「そんなの虚しすぎる!」と思ってしまいますよね。

しかし、少し立ち止まって考えてみましょう。そもそも、なぜ、私たちは、「あらゆるものは流れ去る」ということに気づくことができるのでしょうか? それは、私たちの本性が、まぎれもなく、「決して流れ去らないもの(=大空)」としてあるから、なのではないでしょうか。

いまここにまぎれもなくある、うつくしい大空としての自分を感じてみるだけで、世界はその姿を一変させてしまうのかもしれない―― そんなことを思うのです。

「ほぼ週刊彼岸寺門前だより」2016年5月29日発行号より転載)