【仙がい】気に入らぬ風もあろふに柳哉

2014年5月14日
イラスト:nihhi

今回は、江戸時代の臨済宗のお坊さんである仙がい和尚の『堪忍柳画賛』という禅画に書かれたことばを紹介します。

『堪忍柳画賛』には、吹きつける風にしなやかに枝をなびかせる柳の大木が中央に描かれており、その右横には「堪忍」の大きな文字、左横には冒頭の言葉が、それぞれ書き添えられています。(現物は出光美術館に収蔵されています。参考:http://www.idemitsu.co.jp/museum/collection/introduction/sengai/sengai05.html

「堪え忍ぶ」という文字だけを見ると、つらく苦しい心境が想像されて、思わず顔をしかめてしまいますが、実際の絵をよくよく見てみると……柳本体は文字通り「どこ吹く風」。なにやら楽しそうにその枝をしならせているのです。

生きていれば、自分にとって嫌なこと、気にくわないこと、そりゃあたくさん出てきます。それらに心を乱されてしまうことだってあるでしょう。

それでも、「嫌だ」「気に入らない」と思う心すら、吹き抜ける風と同様、瞬間ごとに湧き上がっては、かならずそこを通りすぎていくのです。そう思ったら、「翻弄されている」という状態すら、どこか余裕を持って楽しんでしまえるようになるのではないでしょうか。もちろん、そう簡単なことではないでしょうけれど……。

仙がいさんのユニークな絵やことばを味わっていると、頑なだった心がふわっとゆるんで消えてしまうような……そんな感覚に襲われます。みなさんも、機会があれば、ぜひ鑑賞してみてください。

「ほぼ週刊彼岸寺門前だより」2016年7月10日発行号より転載)