【快川】心頭を滅却すれば火も自ずから涼し

2014年5月14日
イラスト:nihhiイラスト:nihhi

いよいよ暑さが本格化してきましたね。ということで、このことばをピックアップしてみました。「心頭を滅却すれば火も自ずから涼し」。ものすごく有名な禅語ですよね。しかし、私は、随分長い間、この意味を誤解していました。

心を無にすれば火の熱さも感じなくなるなんて、禅のマスターはすごいなあ……。自分にはとても真似ができないなあ……。と思っていたのですが、まあ、そんなはずはないですよね(笑) どんなに修行を積んだお坊さんだって、暑い(熱い)ときには暑さ(熱さ)を感じるでしょう。人間として生きている限り、それは仕方のないことなのでしょう。

じゃあ、このことばはいったいどんな境地を示しているのでしょうか? 暑さ(熱さ)への抵抗をやめろ、ということでしょうか?

きっと、そういうことでもないのでしょう。だって、抵抗が起こるも起こらないも「縁次第」なのであって、「抵抗をやめよう!」とどんなに強く思ったところで、抵抗してしまうときには抵抗してしまうのが人間ですから……。

そうなってくると、人間にできることはただひとつ。「暑さ(熱さ)に抵抗してしまう自分」に抵抗しない、ということになるのではないかな、と。暑いときは暑い。それでいいじゃない、と……。

随分回りくどいやり方ですが、しかし、結局は、これが唯一の「自ずから涼し」への道なのではないかな、と、割と本気で思っています。

どんなに暑くても、こういった心持ちは忘れずに、この夏を乗り切っていきたいですね。

「ほぼ週刊彼岸寺門前だより」2016年7月17日発行号より転載)