はからいを手放す。

2015年6月7日

「計画なんか立てるから混乱するんだよな!」

 

大学の卒業旅行から帰ってきたYさん、Mさん、Kさんの3名は、口ぐちにそう言っていました。

 

 

 

彼らは……まあ、見るからにテキトーで、

 

冗談以外を言っているのを聞いたことがないような人たちでした。

 

彼らの卒業旅行の行き先はウイーンだったのですが、

 

「ほら、我々には品があるじゃない? だから上品そうな国を選んだんだよ」

 

などとうそぶいていました。

 

品性のカケラもないような男三人が、です。

 

その時点で、もう、めちゃめちゃテキトーです(笑)

 

 

 

彼らは、出発前から、

 

「計画? 立てないよ。立てたって意味ねえし」

 

「旅行ガイド? いらないだろ。まあ、世界史の資料集ぐらいは持っていくかな~」

 

と言っていて、さすがに「大丈夫なのか……?」と思っていたのですが、

 

案の定、とんでもない珍道中になったようです。

 

 

 

まず、全員、海外旅行であるにも関わらず、荷物が少ない。

 

Mさんに至っては、いつも背負っていた小さなリュックひとつでした。

 

中身は数枚のパンツと世界史の資料集だけ……。

 

しかも、そのリュックがロストバゲージの憂き目に遭う、という……(笑)

 

なんで機内に持ち込まなかったのか甚だ疑問なのですが、

 

まあ、とにかく、Mさんの荷物は時空の彼方に消え去ってしまいました。

 

でも、Mさんは「痛くもかゆくもなかった」そうです……。

 

 

 

ロンドンでのトランジットの際にも、大雪で飛行機が飛ばない、という事態が発生!

 

……したにも関わらず、3人はすこぶる元気で、

 

「ウイーン一国のつもりが、イギリスまで楽しめるなんてお得な旅だ!」

 

と言って、夜のロンドンに飛び出していきました……。

 

(一緒にウイーンに向かっていた日本人の新婚旅行のご夫婦は、3人の様子にドン引きしながら、なんとも青白い顔で、「なんでそんなに元気でいられるんですか……」とつぶやいていらっしゃったそうです……。そりゃそうだ。)

 

(というか、いま思ったけど、3人、どうやって空港の外に出たんだ? そういうことって可能なの!?)

 

しかも、ロンドンで入ったレストランが、また、なんともアレなところで、

 

「なにを食べても靴下の味しかしなかった」

 

そうなのですが(おえ~)

 

「だって、お前、靴下の味のするものなんか食べたことあるか? あれは貴重な経験だったよ! あれぞロンドンの味だ!」

 

と言ってゲラゲラ笑っていました……。

 

 

 

いざウイーンに着いても、唯一の観光ガイドである「世界史の資料集」を失った3人は、

 

終始、行き当たりばったりにも程があるような行動をとっていたそうなのですが、

 

それでも「楽しくないときがなかった!」そうで……。

 

結果として、3人にとって「とにかく最高の旅だった!」ということに……。

 

そこで、冒頭のことばに戻るわけです。

 

「計画なんか立てるから混乱するんだよな!」

 

「こうしよう、ああしよう、がなかったら、ぜんぶその場で楽しめるんだよ。これ、ほんとだぜ?」

 

 

 

あれからもう、かなりの月日が経っているわけですが、

 

あのとき聞いた「計画なんか……」のことばと、

 

そう言ったときの彼らのこどものような無邪気な笑顔が、

 

折に触れて思い出されるのです。

 

そのときは「なんなんだ、この人たち……」と呆れて聞いていたのですが、

 

いまにして思えば、もしかしたら、あれ、究極の真実だったのかも……なんて。

 

 

 

私なんか、どうしても「未来にはこうあって欲しいから、いま、これをこうするべきだ」とかで動いてしまうことが多いのですが、

 

まあ、それだって必要なときには必要な行動だとは思うのですが、

 

でも、いつもそればかりじゃ疲れてしまいますよね。

 

ロストバゲージしようが、飛行機が飛ばなかろうが、靴下味の料理を出されようが、観光ガイド一切なしで見知らぬ街をうろつくことになろうが、

 

こちらの心持ち次第で、いつだって「最高の旅」に出来るのだ、と(笑)

 

それを教えてもらえたことは、僥倖だったなあ、と。

 

 

 

「計画」を手放して、行き当たりばったりを楽しむのも、また楽しいことでしょう。

 

というか、それを楽しめる自分でいたいなあ、と。

 

ここにもまた「ほんとうの自由」へのヒントがあるのかも……なんてことを思うのです。

 

 

 

 

 

東京はとってもいい天気。

 

爽やかな青空が広がっています。

 

今日一日ぐらいは、はからいを手放して生きてみようかな。