「自由」と「虚無」

2015年9月1日

天の下では、何事にも定まった時があり、すべての営みには時がある。

 

生まれるのに時があり、死ぬのに時がある。

 

植えるのに時があり、植えた物を引き抜くのに時がある。

 

殺すのに時があり、いやすのに時がある。

 

くずすのに時があり、建てるのに時がある。

 

泣くのに時があり、ほほえむのに時がある。

 

嘆くのに時があり、踊るのに時がある。

 

石を投げ捨てるのに時があり、石を集めるのに時がある。

 

抱擁するのに時があり、抱擁をやめるのに時がある。

 

捜すのに時があり、失うのに時がある。

 

保つのに時があり、投げ捨てるのに時がある。

 

引き裂くのに時があり、縫い合わせるのに時がある。

 

黙っているのに時があり、話をするのに時がある。

 

愛するのに時があり、憎むのに時がある。

 

戦うのに時があり、和睦するのに時がある。

 

 

 

(旧約聖書『新改訳』 伝道者の書:第3章1~8章 より)

 

 

 

 

 

 

 

「◎◎のひとつ覚え」再び……ですが

 

(だってこれ以上の表現、ほかにないのだもの!)

 

ほんとうに、すべては、

 

「縁」によって、

 

瞬間ごとに、

 

あらわれ出ては消え去っていき……

 

消え去ってはあらわれ出る……

 

それを繰り返しているだけなんですね。

 

そして、そこに、ひとりひとりの人間の「意志」なんて、

 

ほんとうは一ミリだって関わっていないんです。

 

 

 

これを、

 

「すべては最初から決まっている」

 

という言い方で表すこともできないことはないのでしょうけれど、

 

それだと、どうしても、

 

「過去→現在→未来」

 

という不可逆の直線上に、

 

すべての出来事がひとつひとつの「点」として、

 

固定的に置かれているようなニュアンスになってしまいます。

 

やっぱり、それは違うよなあ、と思うんです。

 

 

 

これ、決して、

 

「未来は最初から決まっている……」

 

という、運命決定論的な話ではないんです。

 

だって、「縁」が結ばれるのは、いつだって「いま」だから。

 

そして、その「いま」は、

 

いつだって無限の広がりと、無限の動きを持っているから。

 

 

 

ここをよくよくおなかに落としておかないと、

 

やっぱり、どこか虚無主義的な世界観にとらわれてしまいますよね。

 

「すべてに意味はない……」とか、

 

「自分の存在にも価値はない……」とか。

 

 

 

まあ、それは、はっきり言って、確かにそうなんです。

 

すべては「ただ、そのようにあらわれ出ているだけ」なのであって、

 

そこに意味なんかまったくないんです。

 

究極的にはね。

 

 

 

でも、問題なのは、

 

「あなたは、それを、ほんとうのほんとうに理解していますか?」

 

というところで。

 

 

 

ほんとうの意味で、

 

「すべてに意味はない」

 

ということが理解できたら、

 

その瞬間、

 

そこには、

 

無限の広がりと、無限の動きだけが存在していることに気づくでしょう。

 

言い換えれば、「自由」があるだけ、ということです。

 

 

 

これも、考えてみれば、当然のお話です。

 

だって、それに「気づく」とき、

 

個別の人間としての「私」はすでにいないのだから。

 

 

 

「私」という、この皮膚の内側に閉じ込められた存在が、

 

なにかのはずみでそこから解放されると、

 

つまり、「私」自体の幻想性に目覚めると、

 

その瞬間に、

 

「すべて」が「わたし」になります。

 

というか、そもそも「すべて」は「わたし」であったことに気づくのです。

 

 

 

そして、そこでは、すべてが「自由」そのものとして戯れているだけ。

 

筆舌に尽くしがたいほどのうつくしさが、刻々に展開されているだけ。

 

ただ、それだけ。

 

それだけだけど、それ以上に満ちたりた世界を、ほかに知りません。

 

そして、それは、「いま・ここ」です。

 

 

 

虚無思想にとらわれてしまっている人は、

 

その世界観にとらわれているのはいったい誰なのか?(何なのか?)

 

というところを、愚直に、ど真剣に、ただただ見つめてみてください。

 

 

 

「とらわれている者」の不在性が見抜かれたとき、

 

そこには、ほんとうの「自由」が両手を広げて待ってくれています。

 

 

 

 

 

東京はここのところ雨続きです。

 

よい一日をお過ごしくださいね。