曲がりくねった松をまっすぐに見るには

2016年10月26日

おはようございます。小出遥子です。

本日公開したWordsの新記事、
【道元】眼横鼻直(がんのうびちょく)なることを認得(にんとく)して人に瞞(まん)せられず
は、すでにお読みいただいておりますでしょうか。

「眼横鼻直」って、面白いことばですよね。
目は横に、鼻は縦に……。

「当たり前じゃん!」と言われそうですけれど、
いやいや、あなた、ほんとうにこの事実を、
「当たり前に」「ありのままに」「あるがままに」
受け取っていますか? と。
そのことが、まっすぐに問いかけられたことばだと思います。

そうそう、これに関連して、面白いお話があるんです。
一休禅師のエピソードです。

ある日、一休さんは、一本の松の鉢植えを家の前に置きました。
その松は、誰もがびっくりするほどぐにゃぐにゃと曲がりくねっています。
一休さんは、その松の鉢植えの前に、こんな札を立てました。
「この松がまっすぐに見えたものには褒美をあげよう」

いつのまにやら、松の前には人だかりができていました。
みな、懸命に、その曲がりくねった松がまっすぐに見えないか思案しています。
しかし、誰一人として、それをまっすぐに見ることはできませんでした。

夕刻、あるひとりの旅人がやってきました。
彼はその鉢植えを見て、
「この松は、ほんとうにぐにゃぐにゃだなあ」とつぶやきました。

それを聞いた一休さんは家から飛び出してきて、
「あなただけがこの松をまっすぐに見た!」
と言って、大きな声で笑ったということです。

……という身も蓋もないお話(笑)。
後世の創作かもしれませんが、なんというか、
いかにも「パンク禅僧・一休さん」らしいエピソードだなあ、と。

面白いですよね。
ほかの人たちは、みんな曲がりくねった松を
なんとかまっすぐなものとして見ようとしたのに、
旅人だけは、ぐにゃぐにゃに曲がった松を、
「そのまま」「ありのままに」、つまり「まっすぐに」見た。
「この松は、ほんとうにぐにゃぐにゃだなあ。以上!」で終わらせてしまった。

いやー、あらためて、いいお話です。
なんか、いろいろ反省させられます……。

一休さんや、このお話の旅人のように、
事実を事実として、そのままの大きさで認めることさえできたら、
(これを仏教では「如実知見(にょじつちけん)」と言います)
ありとあらゆる思い煩いは、嘘のように消えてしまいますね。

なにかヒントになりそうなエピソードだなあ、
と思ったので、ご紹介しました。

 

東京の空は、今日も気持ちよく晴れています。

よい一日をお過ごしください◎